七転八倒五里霧中

思いつくまま,気のままに,行き当たりばったりに,無計画に・・・
ONE OUTS
これは野球マンガと見せかけて,実は野球マンガではありません(笑)

この作品に出会ったのは,ビジネスジャンプというヤングジャンプよりも更に上の年齢層を対象としている集英社のマンガ雑誌を立ち読みしてたときだ.
何故かわざとボークになるようなピッチングをしたり,四球になった打者が三塁に歩いていったりと,両チームが反則し合うという,およそ普通の野球マンガでは考えられないような場面が描かれていたからだ.
次の号,次の号と読み進めてみると,主人公の渡久地東亜(とくちトーア)はMAX120km/hそこそこの直球しか投げられない投手であるが,精密なコントロールと優れた洞察力,そして悪魔のような冷酷さで,打者を圧倒する.
しかも,現実のプロ野球では禁じられている完全出来高払いの年俸契約をしており,その内容は1アウト500万円,1失点−5000万円.ワンナウツ契約である.
この契約では防御率2.70で収支がとんとんになる計算である.実際の投手で現在収支がプラスなのが,今日時点でセパ併せて7人しかいない.ちなみに現時点で今年の推定年俸より稼いでいるのは杉内(H),渡辺俊(M),藤井(S)の3人しかいない.よっぽど無謀な契約である事が分かると思う.

確かにこれは野球マンガではあるが,本質はギャンブルマンガであると思う.いわば野球版カイジである.相手の心理を読み,緻密な作戦を立て,強靱な精神で相手を負かしていく.まあ,カイジ自身は渡久地ほど完璧ではないが,似たようなものであると思う.
普通の野球マンガでは私もここまでハマったりはしなかっただろう.ひりつくような緊張感が読んでいて非常に面白いところだと思う.

最後にこの作品で渡久地が「勝つこと」について興味深い事を言っている.
勝つというのは,力において相手を上回る事でも,
ましてや,幸運を待つことでもない.
勝つとはすなわち,負かす事,蹴落とす事.
つまずいたヤツを踏みつぶす事,ドブに落ちたイヌを棒で沈める事,
ぱっくり開いたキズ口に塩をすり込む事.
勝ち残るとは屍を越える事だ.決して美しい事じゃない.
むしろ残酷な事なんだ.


是非おためしあれ.

ONE OUTS 14 (14)
ONE OUTS 14 (14)

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